読売日本交響楽団

読売新聞社を中心にして設立されたオーケストラがこの読売日本交響楽団です。世界的にも新聞社が母体となったオーケストラは珍しく、愛称は「読響(よみきょう)」。1962年に設立されて以来、海外公演も積極的におこなっていて、1967年にはアーサー・フィードラーの指揮のもと、アメリカ、カナダで演奏。2015年には12年ぶりとなる欧州公演もシルヴァン・カンブルランの指揮でおこなっています。

歴代の常任指揮者にはハインツ・レーグナーや若杉弘などが着任。もちろん多くの客演指揮者との共演もおこない、その中にはギュンター・ヴァントやセルジュ・チェリビダッケ、そしてズーピン・メータなども含まれています。

また新作の委嘱、それに伴う初演なども活発におこなっていて、日本を代表する現代音楽家、武満徹も「トゥイル・バイ・トワイライト」の作曲を読売日本交響楽団の委嘱としておこなっています。

ゲンナジー・ロジェストヴェンスキー:ショスタコーヴィッチ「交響曲第10番」

読売日本交響楽団はこのゲンナジー・ロジェストヴェンスキーと共に、ショスタコーヴィッチの交響曲全曲演奏を、同一オーケストラ、同一都市で成し遂げるという偉業を達成しています。その一連の演奏の中でも、特にこの交響曲第10番をお勧めします。トレードマークである長い指揮棒で振られた第2楽章の重厚さは、この演奏の最大の見どころといっていいでしょう。

日本のオーケストラ

西洋の文化であるクラシック音楽とオーケストラですが、日本にも多くの優秀なオーケストラがあり、定期公演などで耳の肥えたクラシック音楽ファンを楽しませています。しかし彼らの活動は経済的に決して楽なものではありません。そこでこのサイトを通して日本のオーケストラの素晴らしさを伝え、彼らの活動を陰ながら応援していきたいと思います。

日本のオーケストラが残した名録音の紹介

このサイトでは、日本の代表的なオーケストラを幾つか紹介していきます。加えてそれらのオーケストラが残した多くの名盤、名録音の中から1つだけをピックアップし、お勧めという形で紹介しています。これまで日本のオーケストラに興味がなかった方にも彼らの魅力が伝わり、そして講演会に足を運んでもらえることが私の願いなのです。

NHK交響楽団

日本を代表するオーケストラとして真っ先に名前があがるのが、このNHK交響楽団です。通称「N響」とも呼ばれ、日本で最初のプロ・オーケストラとして1926年に結成されました。当初は新交響楽団という名前で活動していましたが、1942年に日本交響楽団、そして1951年にNHK交響楽団という名前に変わり現在に至っています。NHKホールを中心に月6回の定期公演をおこない、それ以外にも年末の第9演奏会など数多くの演奏活動をおこなっています。

楽団には日本国内の指揮者だけではなく海外の指揮者も多く関わっていて、特に近年はシャルル・デュトワやウラディミール・アシュケナージなど、世界的にも名高い指揮者がNHK交響楽団に参加しています。

また多くの客演指揮者との演奏もおこなっていて、ヘルベルト・フォン・カラヤンや小澤征爾など、名だたる名指揮者と数多くの演奏をおこなっています。そんな名指揮者たちとの共演の中でも、特にこの録音を紹介したいと思います。

朝比奈隆:ブルックナー「交響曲第8番」

ブルックナーを代表する交響曲であるこの第8番は、多くの名指揮者が多くの名演奏を残しているため、この録音を聞いたことがない、という方もいらっしゃると思います。しかし一度耳を傾けていただければ、派手さはなくても作品の雄大さを完璧に表現したこの演奏が、あなたの心に残ることは間違いないと自信を持っておすすめします。

新日本フィル

正式には「公益財団法人新日本フィルハーモニー交響楽団」と呼ばれるオーケストラで、1972年に誕生しました。もともと前身である日本フィルハーモニー交響楽団が、運営会社であったフジテレビと文化放送の都合で解散することになり、当時そのオーケストラの首席指揮者だった小澤征爾と元団員で新しく設立したのが、この「新」日本フィルハーモニー交響楽団でした。当初は自主運営という形で始まったオーケストラなのです。

1997年東京都の自治体である墨田区とフランチャイズ契約を結び、同年その墨田区に完成したすみだトリフォニーホールを本拠地とすることになります。オーケストラの本格的なフランチャイズ契約は、日本で初めてのことでした。すみだトリフォニーホールでの定期公演会のほか、小中学校、または各種施設に訪問し音楽授業などをおこない、地元に密着した活動を幅広くおこなっています。

久石譲:World Dreams

新日本フィルは、アニメや映画音楽を数多く録音している楽団で、日本のサブカルチャーシーンにおいても大きな役割を担ってきました。そしてその流れから2004年に日本のアニメ・映画音楽の大家、久石譲と一緒に「新日本フィル・ワールド・ドリーム・オーケストラ」というプロジェクトを立ち上げ、ジャンルにとらわれない世界中の音楽を演奏していくことになります。その活動の一環として残した録音がこの作品です。

東京都交響楽団

1964年の東京オリンピックを記念する文化事業として、翌1965年に東京都によって財団法人として設立されたオーケストラがこの東京都交響楽団です。略称は「都響」と呼ばれています。台東区上野の東京文化会館に本部が置かれ、その東京文化会館やサントリーホールなど東京都内での活動が中心のオーケストラです。

常任客演指揮者として世界各国から優秀な指揮者を招いていて、過去にはチェコのズデニェク・コシュラー、スイスのペーター・マーク、フランスのジャン・フルネなど多様な国の指揮者が東京都交響楽団で仕事をおこなっています。

楽団の特徴として、グスタフ・マーラーの作品を重要なレパートリーとしていて、マーラーの交響曲を連続全曲演奏をおこなう、いわゆる「マーラー・サイクル」を過去3回おこなっています。

エリアフ・インバル:マーラー「交響曲第7番 夜の歌」

そしてお勧めもやはりマーラーです。イスラエルの指揮者で現在楽団の桂冠指揮者である、エリアフ・インバルが指揮した交響曲第7番です。以前はさほど人気のない交響曲でしたが、無調音楽が完成に向かう近代音楽の枠組みの中で、再評価された作品でもあります。掴みづらく好き嫌いの分かれる音楽だと思いますが、楽器の音そのもの魅力を引き出す音楽でもあり、マーラーを得意とするインバルによってその魅力がふんだんに引き出されているといっていいでしょう。